いびき・無呼吸を放置しないで!PSG検査とSAS(睡眠時無呼吸症候群)が大切な理由
「いびきがうるさいと言われる」「朝起きても疲れが取れない」「日中、会議中や運転中に強い眠気を感じる」――こうした症状を「疲れているだけ」と見過ごしていませんか? 実は、これらは睡眠時無呼吸症候群(SAS)の典型的なサインです。SASは単なる「眠りの浅さ」にとどまらず、心臓や血管に深刻な影響を及ぼす可能性があります。今回は、SASの怖さと、それを正確に診断するためのPSG(ポリソムノグラフィ)検査の重要性についてお伝えします。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とはどんな病気か
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは、眠っている間に呼吸が繰り返し止まる、あるいは浅くなる状態が続く病気です。医学的には、1時間あたり5回以上の無呼吸・低呼吸が起きる状態をSASと定義しています。
最も多いのは「閉塞性SAS」で、眠ると筋肉が緩んで舌や軟口蓋が気道をふさぐことで起こります。肥満や顎の形、飲酒習慣などが関係しますが、痩せ型の方や女性・子どもにも見られます。
こんな症状に心当たりはありませんか
SASは睡眠中に起きているため、本人が気づきにくいのが特徴です。以下のような症状がある場合は注意が必要です。
・大きないびきをかく、いびきが途切れる
・家族や同室の人に「息が止まっている」と指摘された
・朝起きても頭が重い、すっきりしない
・日中に強い眠気があり、会議・運転中でも眠くなる
・夜中に何度もトイレに起きる
・寝汗をよくかく
・集中力・記憶力の低下を感じる
これらの症状が複数あてはまる場合、SASである可能性を考えて専門的な検査を受けることをお勧めします。
SASを放置すると何が起きるのか
SASの最も怖いところは、眠れないことそのものよりも、全身への影響が静かに進行する点にあります。睡眠中に繰り返す低酸素状態と覚醒反応が、体のさまざまな調節機能を慢性的に乱していきます。
循環器・代謝への影響
SASと高血圧の関連は多くの研究で報告されています。睡眠中に血中酸素が下がるたびに交感神経が刺激され、血圧が上昇します。これが毎晩繰り返されることで、治療抵抗性の高血圧(降圧薬が効きにくい高血圧)を引き起こすことがあります。また、心房細動・心筋梗塞・脳卒中のリスクを高めるとも報告されています。
さらに、インスリン抵抗性が上がることで糖尿病や肥満の悪化にもつながるとされており、SASは生活習慣病全般と密接に関わっています。
日中機能・精神面への影響
慢性的な睡眠の断片化により、集中力・記憶力・判断力の低下が起こります。これは仕事上のパフォーマンス低下だけでなく、自動車事故のリスクを健常者の約2~7倍に高めるという報告もあり、社会的な問題にもなっています。
また、SASはうつ病や不安障害と合併することも少なくありません。不眠が主訴でご来院される方の中に、SASが隠れているケースを当院でも経験しています。精神科・心療内科の立場からも、睡眠の「質」と「量」を正確に評価することは非常に重要です。
PSG検査とは何か――なぜ「簡易」ではなく「精密」が必要なのか
SASの診断には、睡眠中の状態を客観的に記録する「ポリソムノグラフィ(PSG)」という検査が用いられます。PSGは複数の生体信号を同時に記録することで、睡眠の深さや呼吸の状態、酸素飽和度、体の動きなどを総合的に評価できます。
簡易PSGでできること
当院では、自宅で行える簡易PSG検査に対応しています。専用の小型機器を自宅に持ち帰り、就寝時に装着して返却するだけで検査が完了します。入院不要で日常に近い環境で測定できるため、患者さまへの負担が少なく、まずSASの有無を確認するスクリーニングとして有効な方法です。
具体的には、いびき音・鼻口の気流・血中酸素飽和度・胸腹部の呼吸運動・体位などを計測し、無呼吸低呼吸指数(AHI)を算出します。AHIが1時間あたり5以上でSASと診断されます(15以上で中等度、30以上で重度)。
症状があっても見逃されやすいSAS
「いびきはあるけど、大して気にならない」という方や、「痩せているからSASではないだろう」と自己判断されている方が少なくありません。しかし、SASは体型や年齢を問わず起こりえます。日中の眠気や熟眠感のなさで来院された方が検査を受け、重度のSASが見つかったというケースもあります。
症状に心当たりがある場合は、自己判断せずに一度ご相談いただき、必要であれば検査を検討することをお勧めします。
CPAP治療について
中等度以上のSASと診断された場合、現在もっとも有効な治療法はCPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)です。就寝時にマスクを装着し、気道に一定の圧力をかけた空気を送り続けることで気道の閉塞を防ぎます。
CPAPを継続することで、いびきの改善、熟眠感の回復、日中の眠気の軽減といった自覚症状の改善だけでなく、高血圧・血糖値の改善、心血管イベントのリスク低下も期待できます。
CPAP導入後のサポートも大切
CPAPは導入すれば終わりではなく、継続的な管理が必要です。圧力の調整、マスクのフィッティング、使用データの確認などを定期的に行います。当院では、CPAP導入後も定期的なフォローアップを行い、患者さまが無理なく治療を続けられるようサポートしています。
「マスクが合わない」「圧力が強くて眠れない」といったお声もよく聞きますが、調整で改善できる場合がほとんどです。困ったことがあれば遠慮なくご相談ください。
メンタルクリニックで睡眠検査を受ける意味
睡眠の問題は、精神的な不調と切り離せない関係にあります。うつ病・不安障害・適応障害を抱えている方の多くが不眠や過眠といった睡眠障害を伴っており、その背景にSASが関係していることもあります。
当院では、睡眠の問題を「眠れない・眠りが浅い」という症状だけで評価するのではなく、精神的な背景・生活環境・身体的な要因(SASを含む)を総合的に見立てることを大切にしています。必要に応じてPSG検査を行い、SASが確認されればCPAP治療を導入、精神的な問題が絡んでいれば薬物療法や精神療法と組み合わせながら、総合的に睡眠の回復を目指します。
「眠れない」「日中ずっとだるい」「いびきを指摘された」という症状を、疲れや加齢のせいにしてそのままにしていませんか。一度、きちんと睡眠を評価することで、今まで気づかなかった原因が見つかるかもしれません。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、いびきや日中の眠気という「よくある症状」の裏に潜む、全身に影響する病気です。放置すれば高血圧・心疾患・糖尿病・交通事故リスクの上昇など、生命予後にも関わる問題につながりかねません。
PSG検査は、こうしたSASを客観的に診断するための重要なツールです。当院では自宅でできる簡易PSG検査に対応しており、必要に応じてCPAP治療の導入・継続管理も行っています。「もしかしたら」という思いがある方は、まずはお気軽にご相談ください。睡眠の質を改善することは、心と体の健康全体につながります。
いけだメンタルクリニック 院長
当院では、不眠・睡眠障害・いびき・日中の眠気など、睡眠に関するお悩みを幅広く診ています。自宅でできる簡易PSG検査・CPAP治療の導入・管理にも対応しており、精神科的なアプローチも含めて総合的にサポートしています。四條畷市・四条畷駅近く、大東市にお住まいの方はお気軽にご相談ください。

