自殺未遂者支援研修で登壇し、気づいたこと。
令和8年7月22日、大阪府こころの健康総合センター主催「自殺未遂者支援研修(若年層)」に、講師として登壇してきました。自分の講義のあと、NPO法人国際ビフレンダーズ 大阪自殺防止センター理事長・北條達人氏の講義も拝聴する、いわばダブルヘッダーの一日。北條理事長のある一言が、とても印象に残っています。
講師として登壇しました
今回の研修では、関西医科大学 精神神経科学講座として、「若者の自殺未遂に対する理解と対応について」をテーマに講義を担当しました。
自殺者数は全体として減少傾向にある一方、若年層の自殺者数は増加傾向にあります。自殺未遂は自殺の最大のリスク因子とも言われており、現場で若者に関わる支援者の皆さんに、少しでも役立てていただけるような内容をお伝えしました。
正直なところ、自分の言葉がどこまで伝わったか、講義中はなかなかわからないものです。でも、精一杯お話しできたと思っています。
そして、北條理事長の講義へ——ダブルヘッダーの後半戦
自分の講義を終えたあと、続いて拝聴したのが、NPO法人国際ビフレンダーズ 大阪自殺防止センター理事長・北條達人氏による講義「生きづらさを抱える若年層(思春期)の理解について」です。
講師を終えたばかりの状態で聴く他の先生の講義は、また格別なものがあります。北條理事長の言葉のひとつひとつが、すっと入ってきました。
「自分というものは、他人がいるからわかるんです。」
講義の中で特に印象に残った言葉がこちらです。
「自分というものは、他人がいるからわかるんです。」
自分という存在は、他者との関わりの中で初めて形づくられていく。生きづらさを抱える若者にとって、「つながり」がいかに大切かを改めて考えさせられる言葉でした。
目からうろこだった、一つの質疑応答
講義後の質疑応答で、スクールカウンセラーの方からこんな質問がありました。
「すぐに自傷行為をやめさせるにはどうしたらいいですか? 教員から圧をかけられているんです。」
これに対する北條理事長の答えが、本当に目からうろこでした。
「教員の人も不安なんですね。」
「すぐにやめさせろ」という圧の背景にあるのは、教員自身の不安だ——という見立てです。生徒が自傷していることへの戸惑い、何かあったらどうしようという恐れ、責任を問われることへの緊張。そういった不安が「圧」という形で表れている、ということです。
問題の表面だけを見るのではなく、その背景にある感情に目を向ける。精神科医として日々診療している自分も、改めてハッとさせられた瞬間でした。
不安は正常な感情。でも、放置すると——
責任があるからこそ、不安になる。やめさせなければ、何とかしなければという焦りは、生徒を思うからこそ生まれるものでもあります。それは、とても自然なことです。
ただ、不安は正常な感情である一方、放置すると抑うつにつながり、さらには自己肯定感を下げることになります。
大切なのは、不安を「消す」ことではなく、どのようにコントロールするか。これは教員の皆さんだけでなく、支援者も、親御さんも、そして私自身も含めた、共通の課題だと感じています。
まとめ
講師として登壇し、そして北條理事長の講義を拝聴する——充実したダブルヘッダーの一日でした。「支援する側」のこころのケアについても改めて考えさせられた研修でもありました。子どもたちを支える大人が、自分自身の不安と向き合い、それをうまくコントロールできること——それが、若者への良い支援にもつながっていくのだと思います。
いけだメンタルクリニックは、患者さんだけでなく、支援者や教育関係者の皆さんのこころの相談にも寄り添える場所でありたいと思っています。「こころが通う。四条畷駅前。こころの主治医。」として、これからも地域の皆さまのそばにいます。
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